6tのコンテナ部屋を吊り上げる架台について、「本当に強度に問題がないのか」と現場のゼネコンから確認を求められた事例です。
既存架台の強度検討から始まり、吊り金具まわりの強度不足の確認、新規架台設計、ワイヤー・ベルトスリング・シャックルの選定まで一貫して対応しました。安全率5を確保した設計根拠をもとに、顧客提出・社内承認に使える計算書・図面・購入品一覧を作成した事例をご紹介します。
本記事では「コンテナ架台の強度計算」「吊り具選定」「設計変更」の流れを、実際の案件をもとに解説しています。同様の課題をお持ちの方の参考になれば幸いです。
1 コンテナ架台の強度計算が必要になった背景
1-1 コンテナ架台を6t吊り上げる現場条件
今回の案件では、約6tあるコンテナ部屋を吊り上げて所定の位置へ設置するための架台について、強度計算と設計対応を行いました。
対象となった部材・部品は以下のとおりです。
- コンテナ部屋を吊り上げるための架台本体
- 吊り金具
- ワイヤー
- ベルトスリング
- シャックル
お客様は長年の経験をもとに架台を製作されていました。しかし、現場のゼネコンから「この架台は本当に強度に問題がないのか」「安全率は確保できているのか」と確認を求められたことで、数値に基づいた設計根拠が必要になりました。
1-2 強度を数値で示せなかった課題
お客様の課題は、経験的には問題ないと判断していた架台でも、その強度を数値で証明できないことでした。
顧客提出や社内承認では、「今まで問題がなかったから大丈夫」という説明だけでは不十分です。吊り上げ作業では架台本体だけでなく、吊り金具・固定ボルト・ワイヤー・ベルトスリング・シャックルにも荷重がかかるため、各部材の強度と安全率を第三者に説明できる資料としてまとめる必要があります。
また、担当者様は他の業務が立て込んでおり、強度計算・図面作成・購入品選定までを自力で進める時間を確保できない状況でした。
2 コンテナ架台の強度計算で確認した項目
2-1 架台の梁・吊り金具・ボルト部の確認
まず、既に製作されていたH-100×100の架台図面をもとに、各部の強度検討を行いました。確認した主な部位は以下のとおりです。
- 架台梁部分(曲げ・せん断)
- 吊り金具(引張・圧縮)
- 吊り金具固定部
- ボルト部(強度・転倒・座屈)
- ベースプレート
- ワイヤー
- ベルトスリング
- シャックル
各部位について、曲げ・せん断・引張・圧縮・座屈・転倒・安全率を確認しました。
2-2 吊り荷重と各種張力の確認

コンテナ架台の吊り上げでは、積載荷重・吊り荷重・ワイヤー張力・ベルトスリング張力を条件として確認しました。
吊り上げ時の荷重は、単純に鉛直方向へかかるだけではありません。ワイヤーやスリングの角度によって張力が変わるため、角度を考慮した張力の計算が必要です。
架台本体の強度が十分でも、ワイヤー・ベルトスリング・シャックルの選定が不適切であれば、安全な吊り上げはできません。架台本体だけでなく、吊り上げに関わる部品全体を含めて安全率を確認することが重要です。
3 強度不足が見つかった部位と補強対応
3-1 既存H-100×100部材の検討結果

既存のH-100×100で製作された架台について強度検討を行った結果、吊り金具まわりに強度不足が確認されました。
吊り上げ時には吊り金具の固定部に荷重が集中するため、架台梁の強度だけを確認するのではなく、吊り金具の固定部・ボルト・補強の有無まで含めて確認する必要があります。
既存架台のままでは、吊り上げ時の荷重条件に対して十分な余裕を確保しにくい部分があったため、新規架台として再設計する方針になりました。
3-2 吊り金具まわりに必要な補強
強度不足が確認された吊り金具まわりについては、補強リブを追加する設計としました。
通常の架台設計では、形状を優先してリブ補強を最小限にする場合もあります。しかし、6tのコンテナ部屋を吊り上げる条件では、吊り金具や架台側の局部的な変形を事前に想定した設計が必要です。
今回は単に強度不足を指摘するだけでなく、どのように補強すれば安全率を確保できるかまで提案した点が重要なポイントです。
4 コンテナ架台の設計変更と吊り具選定
4-1 H-150×100で再設計した理由
既存のH-100×100では吊り金具まわりに強度上の懸念があったため、新規製作予定の架台ではH-150×100を使用して再設計しました。設計では、架台梁部分・吊り金具・ボルト部・ベースプレート・補強リブを含めて検討しています。
今回の架台には、以下の現場要望がありました。
- 架台端部から100mmの位置で吊り上げたい
- 使用後は吊り金具を取り外したい
- 架台の周囲に突起が残らないようにしたい
- 現場でボルト固定しやすい構造にしたい
- 工具を使うための作業スペースを確保したい
これらの条件を満たすため、吊り金具はできるだけコンパクトな形状にしました。また、ボルトを太くしすぎると工具が入りにくくなり現場作業性が悪くなるため、強度を確保できる範囲でなるべく細いボルトを選定し、小型の工具でも取り付けやすい構造としました。
強度だけでなく、実際に施工する作業員の使いやすさまで考慮することが、現場で使い続けられる架台設計のポイントです。
4-2 ワイヤー・スリング・シャックルの選定

お客様から「この資料があればコンテナを吊れる架台が完成する、という段階まで作成してほしい」というご要望をいただきました。そのため、架台本体の強度計算だけでなく、以下の対応も行いました。
- ワイヤー選定
- ベルトスリング選定
- シャックル選定
- トラバーサー図面作成・強度検討
- 購入品一覧作成
架台本体だけを設計しても、吊り具や購入品の選定が不十分では実際の製作・現場作業に進めません。今回は強度計算書・製作図面・PDF資料・購入品一覧までまとめ、材料調達や製作にすぐ着手できる状態で納品しました。
5 コンテナ架台の強度計算で得られた成果
5-1 安全率5を確保した設計根拠
今回の設計では、架台本体・吊り金具・固定ボルト・ワイヤー・ベルトスリング・シャックルを含めてすべての安全率を確認しました。最終的に安全率5を確保した構成で設計を行い、顧客提出・社内承認に使える設計根拠を示すことができました。
納品物は以下のとおりです。
- 強度計算書
- PDF資料
- 製作図面
- 購入品一覧
単なる強度確認にとどまらず、製作・調達・社内確認・顧客提出まで想定した資料として整理しました。
5-2 計算書・図面・購入品一覧まで納品した効果
本来であれば、担当者様が強度検討・図面作成・吊り具選定・資料作成まで自力で対応する必要があり、1〜2週間ほどの時間を要する可能性がありました。
しかし今回は、これらをまとめて作成・納品したことで、お客様側の作業は材料調達の確認・図面チェック・強度計算書の確認が中心になりました。結果として、この案件にお客様が使用した実作業時間は約4時間程度に抑えられました。
担当者様の負担を大幅に軽減しながら、顧客提出・社内承認に必要な資料を整えることができた事例です。
お客様からの評価
強度不足の箇所を指摘するだけでなく、どのように補強すれば安全率を確保できるかまで提案してもらえた点が非常に助かりました。
計算書・図面・購入品一覧まで整理されていたため、社内確認や顧客提出の負担を大きく減らすことができました。多数の要望にも丁寧に対応いただき、依頼する側が迷わず判断できる資料にまとめていただいた点も高く評価しています。
まとめ:コンテナ架台の強度計算は設計根拠と現場作業性の両立が重要
6tのコンテナ部屋を吊り上げる架台では、架台本体の強度だけでなく、吊り金具・ボルト・ワイヤー・ベルトスリング・シャックルまで含めた確認が欠かせません。今回の事例では、既存架台の強度不足を確認したうえで新規架台を再設計し、安全率5を確保した構成で資料を作成しました。強度計算書だけでなく、製作図面・購入品一覧・吊り具選定まで対応したことで、製作・調達・社内承認・顧客提出をスムーズに進めることができました。
架台や吊り具の強度に不安がある場合、経験や感覚だけで判断するとゼネコンや顧客への説明が困難になるだけでなく、現場でのトラブルリスクにもつながります。早めに専門家へ相談することで、数値に基づいた設計根拠を整え、承認・提出・製作を一気に前に進めることができます。お客様の状況に合わせた対応が可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
