フロートスイッチ動作確認で出張対応を減らした理由
―「やり方が分からない」で止まっていた現場を動画で変えた話

現場で起きていた課題
フロートスイッチに関する問い合わせは、
装置にトラブルが発生したタイミングで多く発生していました。
現場では「止まった=本体の故障」と捉えやすく、まず電源・設定・センサー異常など“分かりやすい原因”から疑う流れになりがちです。
その結果、最初に確認すれば切り分けが進むポイントが後回しになり、対応が長引くケースが起きていました。
異常が出ると、お客様としては
「どこかが壊れたのではないか」
「すぐに止めないといけないのではないか」
という不安が先に立ちます。
その際、こちらとしては
まずフロートスイッチの動作確認をお願いしたい場面が多くありました。
確認作業自体は、特別な工具も分解も不要で、
本来はお客様側でも十分に行える内容です。
しかし実際には、
「やり方が分からないので、見に来てもらえませんか」
という一言で、確認作業が止まってしまうケースが続いていました。
ここで重要なのは、手順そのものよりも、「触ってよい/壊れない」という安心材料が不足していた点です。
文章で「軽く動かしてください」と伝えても、相手の頭の中には「壊したらどうしよう」「どの程度が軽いのか」という不安が残ります。
不安が残ったままだと行動が止まり、結果として出張依頼につながっていました。
結果として、
「確認だけ」のために出張対応となり、
- 出張準備
- 移動時間
- 現地での確認
- 場所によっては宿泊費・交通費
と、時間もコストも大きく消費されていました。
簡単な確認で済むはずの内容が、
大きな負担になっていた点は、現場として見過ごせない課題でした。
結論:今回の原因は故障ではなく「触れない不安」だった
実際に現場で確認すると、
フロートスイッチが完全に故障しているケースは多くありません。
まれに、
- フロートスイッチに溶液が結晶化して付着していた
- それによって動きが悪くなっていた
といった事例はありますが、頻発するものではありません。
多くの場合、原因は
フロートスイッチに触れなかったことでした。
つまり、故障というよりも「確認が実行されない」ことが原因で、同じ問い合わせが繰り返されていた状態です。
ここが共有できないと、装置側の停止要因が分かっていても、現場では毎回「原因不明」として扱われてしまいます。
メーカー側から見れば、
- 激しく動かさなければ壊れない
- 軽く動かして反応を見るだけでよい
ということは当たり前です。
しかしお客様側からすると、
- センサーの仕組みが分からない
- 少し触っただけで壊れるのではないか
- 触っていい範囲が判断できない
といった不安があります。
実際に動かせたとしても、
- 「動いた気はする」
- 「反応しているようにも見える」
- 「でも、これが正常なのか分からない」
という状態で止まってしまい、
結果として問い合わせや出張依頼につながっていました。
よくある勘違い・見落とされがちなポイント
フロートスイッチ確認で特に多かったのが、
動かし方に関する勘違いです。
軽く触りすぎて反応しないケース
壊すことを恐れて、
ほんの少し触っただけで確認を終えてしまうと、
仕様上、反応しないことがあります。
その結果、
「反応しない」
「フロートスイッチが悪い」
と誤った判断につながります。
音や感覚で異常と判断してしまうケース
フロートスイッチは、
分かりやすい作動音が出る部品ではありません。
そのため、
- 音がしない
- 手応えがない
という理由だけで
異常だと判断されることもありました。
動画では、
操作パネルの表示変化を見るという
正しい判断基準を明確に示しています。
「動いた気がする/しない」といった感覚ではなく、表示の変化=結果で判断できるようにすることで、迷いを減らしました。
この“判断の置き場所”を決めるだけで、確認作業の再現性は大きく上がります。
なぜ紙マニュアルや口頭説明では足りなかったのか
これまでも、電話や文章で説明は行っていました。
しかし、電話説明では必ず次の点で時間がかかっていました。
- 複数あるフロートスイッチの位置説明
- 操作パネルのどこが変化するのかの説明
- 「軽く動かす」という力加減の説明
特に「軽く」という表現は、
人によって受け取り方が大きく異なります。
さらに、
「壊してしまうかもしれない」という恐怖がある状態では、
口頭説明だけで行動に移してもらうことは困難でした。
実際の動きと結果を同時に見せる必要があった
これが動画を作成した最大の理由です。
電話だと、こちらは「伝えたつもり」でも、相手は「理解したつもり」で止まりやすく、現場での再現が難しくなります。
動画なら、位置・動かし方・確認すべき表示が一度に揃うため、説明の行き違いを減らせます。
▼ 実際の確認動画(埋め込み)
この動画で工夫したポイント①
最初に「全体」を映した理由
フロートスイッチと言われても、
お客様にはそれが何なのか、どこにあるのかが分かりません。
そのため動画では、
装置全体を映し、
「この中の、ここにある部品がフロートスイッチです」
という前提を最初に共有しました。
最初に全体→対象部品→操作の順で見せることで、視聴者の頭の中に「地図」を作ります。
この地図があると、次回以降は自力で同じ場所に戻れるので、確認が習慣化しやすくなります。
この動画で工夫したポイント②
赤枠・テロップで迷わせない
撮影角度や装置構成によっては、
動画でも分かりにくい部分があります。
また、同じフロートスイッチが
複数箇所に設置されている場合もあります。
そこで、
赤枠やテロップを使い、
「今見てほしいのはここ」という情報を
必ず補足しました。
現場では画面を止めて見ることも多いので、一時停止しても情報が残る見せ方を意識しています。
「どこを見ればいいか」が明確になると、質問が「分からない」から「ここは合っていますか?」に変わり、やり取りがスムーズになります。
この動画で工夫したポイント③
情報を詰め込みすぎなかった理由
フロートスイッチの仕組みを
詳しく説明することも可能でした。
しかし今回は、
仕組みの理解よりも
判断できることを優先しました。
仕組み説明を入れると、視聴者の理解レベル差で離脱が起きやすくなります。
一方、現場が求めているのは「この手順で確認すれば止まる/止まらないが分かる」という即効性です。
そのため、情報量は増やしすぎず、行動に直結する要素に絞りました。
現場が一番知りたいのは、
「どうなれば正常か」という一点です。
動画を作らなかった場合に起きていたリスク
動画がなければ、
- 分かる人しか問い合わせに対応できない
- ベテラン不在時に対応が止まる
- 教育が口伝えになり、内容がばらつく
といった状況が続いていたはずです。
簡単な確認のために出張が発生し、
人手不足の中で移動時間に多くの時間を割く。
こうした小さな無駄は、
積み重なると大きな負担になります。
特に、移動や待機の時間は“作業として残りにくいコスト”ですが、現場・メーカー双方に確実に効いてきます。
動画があるだけで、出張が「最後の手段」になり、判断の順番を整えることができます。
実際の現場の変化・反応
動画作成後は、
- まず動画を見てもらえるようになった
- 口頭説明が大幅に減った
- 質問内容が具体的になった
といった変化がありました。
「見る→同じ手順で試せる→結果が分かる」という流れができると、問い合わせは“ゼロ”にはならなくても、内容が具体化します。
その結果、こちらも的確に返せるようになり、対応時間が短くなりました。
「動画の〇分あたりで…」
という質問が出るようになり、
対応する側も状況を把握しやすくなっています。
他の作業にも応用できる考え方
今回のように、
- 確認作業は簡単
- しかし触るのが不安
という部品は、
動画マニュアルとの相性が非常に良いと感じています。
一方で、
複数の要因が絡む故障や、
製品全体の理解が必要な作業は、
動画だけで完結させるのは難しい部分もあります。
ただし、そうしたケースでも「最初に確認すべきポイント」を動画で揃えておくと、切り分けの入口が整います。
結果として、現場とメーカーの会話が同じ前提で進み、対応が早くなります。
まとめ
今回のフロートスイッチ動作確認動画で
最も効果があったのは、
口頭説明がほとんど不要になったことです。
完璧な動画を最初から作る必要はありません。
まずは、
- よく問い合わせが来る
- 確認だけで済む
- お客様が不安に感じている
そんな作業を1本、動画にしてみる。
その一歩だけでも、現場の負担は確実に変わります。
同じような課題を感じている現場があれば、
今回の取り組みが参考になれば幸いです。
自然と視線が流れる下記のボタンから、
次の一歩をご確認ください。
「この作業も動画にできるかも」と感じた段階で、まずは“問い合わせが多い/確認だけで済む”ものから整理すると進めやすいです。
要点(確認箇所・判断基準・NG例)が揃えば、短い動画でも十分に効果が出ます。